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幹仕立て。 モミジのシシガシラはまれに見る盆栽素材として人気も高く、数量的にも不足はない。 縮れた葉は濃緑で太くて短い枝に密生してくる。 枝付きは荒いように見えるが、節ごとの芽はよく吹き、多芽性の樹種のように混み合ってくるものである。 ズングリとした姿は印象的で、枝が直線的に太く伸びていく。 庭植えの古樹も存在し、4〜5mにも育つ。 ウッソウと濃緑の葉が繁り、太い幹がウネウネとしている様子はヤマモミジの繊細さとは異質である。 しかし、こうした古木のシシガシラの迫力は満点。 特に紅葉の素晴しさは恵まれた年では燃えるように紅く、深味のある赤に変わる。 したがってシシガシラを盆栽化することは早くから試みられたはずだがこれまでのところ好樹は少ない。 原因としては、園芸素材の鉢植えとしても歓迎されたため、高接ぎの苗が多いこと。 樹勢強く、直線的に伸びる性質からやや単調な幹の作品が多くなったとされている。 ヤマモミジと比較するとややクセのある性質で、この特性を十分に生かせぱ優れた樹が可能と考えられている。 特に小品〜中品樹の個性的な作品ではベテランも熱中するほどの好素材で頭を悩ますことも多い性質なのである。 今回紹介するのは取り木による素材の活用。 小品樹の手軽な楽しみ方では有効と考えられている。 四季の色どりが豊かで変化も大きい。 ズングリした印象が小さな鉢に映える樹である。 鉢映りの点でも、さまざまな粕薬の小鉢とよく合うもので、この点は盆栽入門樹として最適。 細い新梢をひねっただけの簡単な素材でも面白く、愛好家の多くの好みの具合によく適するのである。 |