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黒松は裸子植物です。 アカマツよりも強い植物です。 樹皮は、黒灰色です。 花の綺麗な被子植物よりも古く、花に来る昆虫が現れる前から地球に存在したようです。 海岸近くでよく見かけられますが、暖地では内陸にもあります。 乾燥にも湿気にも強く、また潮風にも強いので防潮林・防風林としても植えられます。 大きいものは高さ40m直径2m以上になります。 樹肌は亀甲状にひび割れし、これが盆栽としての見所ともなります。 木材は樹脂を含んだ心材では腐敗に強く、建築材に有用です。 戦時中は、この切り株から松根油というオイルが取れました。 黒松の盆栽は最も多いかもしれません。 日本人の植物感も良く好まれています。 丈夫で長生きするので育てガイがあります。 黒松盆栽には一つの発明があります。 それは、目摘み或いは芽切りと言い一言で言うと全ての新芽を切り取り次に出る芽を育てるのです。 これによって松葉の長さを5センチ以下に揃えることが出来ます。 時期、早い遅いといった調整で長さを決めることができるのです。 秋には、葉抜きを行います。 古葉取りや多すぎる新芽を取り除くのはもちろんですが、葉抜きで日当たり・風通しを平均化しておくことがバランスの良い成長に重要です。 芽切りには面白い手順があります。 それは、一本の樹の中で弱い芽から先に切り取り、大きな新芽は1〜2週間後で切り取ります。 そうすると先に切り取った所に先に次の新芽が伸びだし、後で切り取った所は後から新芽が伸び出します。 後の新芽は元々強い所なので鑑賞時には同一成長になると言う訳です。 黒松に限らず樹は、毎年木部が太りますし、毎年赤身となって機能を停止して構造材の役目を果たすのみとなっていきます。 木材腐朽菌や焼け込みといった加速要因もあります。 成長を押さえると木部の太りが少なくなります。 これはあるレベル以下になると枯れることになるので、樹種の性質を把握して加減する必要があります。 肥大成長は、最適な資源利用を実現させるために獲得した各植物のフェノロジーを支えるインフラストラクチャーの構築作業です。 同時に、木部の通水機能の獲得・更新過程でもあります。 水ストレスを受けた場合に枯れにくい樹種と枯れやすい樹種とがあります。 すなわち、水ストレスに負けると、個体そのものが枯死するものと、先枯れによって個体サイズを縮小させて耐えるもの、あるいは複数回落葉するものなど、反応はまちまちです。 要は、生きるために必要な量の水分を運搬できる新しい木部(白身)を成長させないといけない訳です。 これは、小品盆栽の古樹の持ち込みで考慮すべき重要な問題です。 若木や中大型盆栽では関係ないでしょう。 黒松の冬芽は、4月下旬〜5月上旬に長くローソクの様な芽となって伸びます。 この新芽は若木や仕立て中の樹ほど長く、長さが不揃いで樹冠部や枝先の芽は長く、フトコロ芽は短くなります。 緑摘みの作業は、長く伸びて勢いの強いローソク芽を折り、枝先の成長力を平均化するために行います。 黒松の盆栽は、古い樹では250年にもおよぶといわれています。 黒松はもみじや杉など他の植物と違い条件の良い枝でも5年以上経った場合は新しく芽を出すことがありません。 そのために古い枝や幹から芽を出させて形を縮めることができないので難しい面があります。 |
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我々、趣味者の側からすると素材が豊富で若樹から畑作り・長年の鉢作りなどいろいろと味のあるものが欲しいと思うが、岩にしがみつくように風雪に耐えて生きる松の古樹といったものは高価でありすぐれた素材は豊富にはありません。 松はひたすら長命なのであります。 人間ひとりいくら気力をかきたてても、自然の目で見れば一瞬の事に過ぎないのです。 よく、百年作り込めば大概の樹は名樹に成るといいます。 個人の持ち物でなく、一時を育てることを任されているだけであって、次の人に渡して行かなければならないのかもしれません。 「人間はみんな苦しんでいる。 ・ ・ それが我々を立派にする 見ろ山頂の松の古木をその梢が烈風を切っているところを その音の痛々しさ ・ ・ そして倒れる時が来たらば微笑んで倒れろ 一切を有りのままにじっと見つめて 大木のように倒れろ ・ ・ 頑固であれ それこそ人間だ」 |
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私達は盆栽というと、木をいじることばかりに気を取られがちです。 でも好い木を見ることが大変勉強になります。 見て心に残ったことを自分の木に当てはめていくと言うことが腕を磨くために大切です。 そして、植え替えや針金掛けや剪定を行なっていくことで、楽しめます。 木は期待する所に枝を着けてくれることは、あるかもしれないし、ないかもしれない。 彫刻とは違う成り行き任せの事を最高に美しく見せる芸術なのです。 そして、若枝にしか枝を新たに出さない黒松が、特別に扱われています。 「黒松に始まって黒松に終る」と 黒松は千変万化の姿を取れます。 根を地上に出した根上がり樹形、地平線より木が下に下がる懸崖樹形、太くとぐろを巻くような播幹樹形、吹けば折れそうな文人樹形とか、最近では根も枝もマリのように丸め縛り固めて植えたような盆栽もあり今後もっと斬新な表現が期待されます。 このように多彩な表現がなされていて、それが年を経て味となるような樹種は盆栽用として良い樹種なのでしょう。 これが持ち込んだ樹、締め込んだ樹となると作者にとって手放すことが出来ないものとなっていくのです。 盆栽の素材を得る方法は実生・挿し木・取り木・接木・山取りとあります。 黒松では実生と山取りが良く行なわれています。 盆栽に仕上がるまでを考えると実生ではとてもとてもと考えがちです。 しかし、黒松は小品盆栽などとして見られるような木に仕上げる歳月はそんなに長くはありません。 また、山取りをしても本鉢に入れて鑑賞できるまではかなりの歳月が必要です。 実生も山取りも素材を得るための手段であり特に優劣があるとは思えません。 実生の場合 種子は自分で採取するか購入しますが、自分で採取する場合は良い親木からの種子を採取します。 良い親木とは、葉性・皮性が盆栽として良く、葉に光沢があり密に詰まったもの、木肌が亀甲状または横割れするものを選びます。 松かさが成熟する前の青い頃に採取します。 これを陰干し状態で春まで待ち種子を取り出して播種します。 あまり土中深くならないようにします。 芽だしはこうもり笠の骨のように出ますが、これを抜き取り白い根の部分を切って挿し木します。 直根を切り横根を出させて根張りを良くするためです。 盆栽は根張りに始まるのです。 松の盆栽に色々な形がありますが、株立ちは断じて宜しくない。 という説もあります。 天然の松には絶対に無いのです。 何故なら、たとえ若芽のあいだに株立ちで発生してもそのうち一本が生育して他は皆生存しないで途中で枯れてしまうのが普通の喬木の性質です。 1〜2本位までは生存していくが数本互生することはまことに少ない。 他の潅木には株立ちはあるが、松には断じて天然の株立ちは無いはずです。 しかし、盆栽には不思議にも株立ちまたは山寄りなどと称し、根ぎわのはなはだしく接触または密着し群植簇生したものをしばしば見かける。 これは自然の大木には見た事が無い。 たとえ、山寄りで尺未満の苗木が有った所で盆栽に写すのははなはだ宜しくないと言える。 しかし、世間にはいろいろと不具者も有る物でかの多行松または万代性の松などは皆生来の株立ちである。 これは人工で作られた松で決して天然野生の松ではないから、別種として見るべきである。 また盆栽としてもはなはだ趣味のないもので少しも面白くない。 ただ東京付近で庭木として賞するにすぎない。 松のみ寄せ植えの場合、すなわち数本以上並立している時、その内部中央にある木は、純粋の直幹でないと不自然である。 また、その外側周囲にある木は皆外側にへ向かって枝を張り直幹ながらも双樹または半懸崖の姿勢をしているのが自然である。 ただし、半懸崖と言っても決して幹の屈曲したものでなく直幹で自然と外側に向かって枝を張りだし垂れた枝も混ざる。 実際に山中の松林を観察する時は、皆このような枝を供えている。 これは日光と風当たりの作用で自然に形成される形と言えよう。 しかるに、盆栽の寄せ植えを見ると多くはこの原則を逸脱し、幹の屈曲や並列のしかたが可笑しく感ずるのである。 しかれども、海浜に沿った土地で風波に荒らされた松では、また格別でこれと反対の姿勢を呈している。 幹は概して屈折多く直幹といえどもなんとなく幹立ちが硬くできている。 ゆえに山中の松と大いに趣が違う。 すべて山中の松は穏やかで柔和な所があるけれども海岸の松は用材としても硬くて宜しくない。 海辺の松林中にあってその中央に生育したものも山中の松のように直幹でない。 地勢と風当たりの具合で互いに反対の現象を呈している。 という説は皆さんどう受け止めたでしょうか。 |
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以前、田舎に六本松という大きな松がありました。 この松は天然記念物に指定されていて、毎年祭りが行なわれ舞台が作られて踊りや劇が行なわれました。 大風が吹くとこの松の傍に住んでいる笹原さんが根もとの開き具合を見て何本かの寄り集まりでないかと言っておられました。 直径1メートルくらいの幹が6本も立ち上がった株だったのですが、今は枯れてしまいました。 |
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黒松は比較的育てやすいです。水枯れや強い日差しにもよく耐えます。
松は手入れが難しいと思われがちですが、「芽切り」「芽かき」さえ覚えてしまえば あとはほかの木よりも育て方は簡単。 黒松は雑木類に比べて成長は遅いのですぐには食い込みませんが、4月〜7月頃は成長期なので枝が太っては針金が食い込まないように、注意して観察しておいてください。もし、食い込んでしまうようなら一度はずしてもう一度かけなおします。 食い込ませないようにするコツは、少し緩めにかけておくこと。 少し隙間を開けて掛けておけば、「太った時にちょうど良い掛かりようになる。」このくらいの気持ちでやってみましょう。 |
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黒松の盆栽に針金を掛けると葉がいろんな方向を向いてしまいます。枝を下げれば当然上を向いていた芽も横を向きます。 しばらく育てていれば、自然と芽も上を向いてくれるので別に問題はありません。 見苦しくて気になるという方は、針金の先を芽の下に当てて軽く上に押してみましょう。少しあててやれば上を向きます。 すべての芽に対して行えば、針金かけのすぐ後でもきれいな樹姿となるはずです。 |
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鉢土の表面が乾いたら鉢底からお水がでるくらいたっぷりとお水を与えて下さい。少し乾かし気味のほうが望ましく、また、鉢底に穴の無い鉢の場合には、やや控えめにしてください。夏は乾燥し過ぎないように気をつけて下さい。
クロマツは挿し木ができないのです。 絶対に出来ないのではなく難しい。 |
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黒松はアブラムシに注意しましょう。早いうちならピンセットや手袋をした手で除去しましょう。
通常あまりありえませんが天文学的な数の害虫が発生した場合は、サンヨールAL剤・オルトランプレーなど市販の散布式(スプレー式)の薬剤を散布したほうが確実です。
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